妊娠・出産

副乳っていったい何?脇にある膨らみは副乳が原因?

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みなさんは「副乳」という言葉をご存知ですか?初めて副乳という言葉を聞いた、もしくは副乳という言葉自体は聞いたことがあるがどんなものか知らないという方も多いことでしょう。

妊娠中は体の変化がとても多く、不安になってしまうことでしょう。人によっては脇の下やお腹のあたりに痣のような膨らみができることもあります。「なにこれ、病気?」と恐れてしまう人もいますが、これは「副乳」という自然な現象の一つです。

そこで今回は、どうして副乳ができるのか、痛みはないのか、自然に消えるのかなど、副乳についてご紹介していきましょう。

副乳ってどんなもの?遺伝することはあるの?

副乳とは簡単に言うと「おっぱいが複数ある」ということになります。私たち人間の乳房は二つあり、乳頭も二つというのが基本です。しかし他の哺乳類には犬や牛のように乳房が4つ以上ある動物も多くいます。

実は人間の乳房は退化して2つになったと考えられています。しかし人によってその名残で乳房が少し残っており、「副乳」という形で現れるのです。

ちなみに乳腺組織が残っていて産後副乳から母乳が出る、乳頭だけが目立つ、なんとなくふくらみができているもの、など形状も様々です。また副乳は脇の下付近にできるという人が多いのですが、お腹にできる人もいます。

というのも両脇の下から恥骨にかけてのVラインをミルクラインと呼び、哺乳類に共通する「乳房ができる場所」になるからです。

現在は胸部にあるためその付近にできることが多いですが、お腹の下の方にできていても怖がる必要はありません。そして女性の5%は副乳があり、男性でも2%の人に存在しているので、安心してください。

副乳って遺伝することはあるの?

また日本人の数%に存在している副乳ですが、遺伝性について様々な研究が行われてきました。未だに明確な答えは報告されていませんが、一般的に副乳は「遺伝するもの」だと考えられています。

なぜならば実際に副乳を持つ母親から生まれた子どもにも副乳が存在していることがよくあり、遺伝性を否定することが難しいからです。その一方で両親には副乳が無かったのに自分だけ副乳があるというケースがあり、研究によって明確な数字を出すことができていないようです。

副乳に気づくのは妊娠中~産後がほとんど!

普段は気付きにくい副乳も、生理や妊娠をきっかけに発見されることが多いようです。なぜかというと生理中や妊娠前後は女性ホルモンのバランスが変わり、身体の変化に伴って副乳を自覚しやすくなります。

生理中、妊娠中、そして産後における副乳の特徴について以下にご説明します。

生理中

生理前の黄体期~生理前半にかけて副乳は乳房と同様に張りやすくなり、腫れ上がることもあります。副乳が張っていると、擦れるだけでも痛みを感じるという方も多いようです。「生理中、脇の下に少し痛いしこりができる…」という人は、それが副乳のサインかもしれませんね。

一般的には妊娠中や産後ほどの色の変化は見られず、生理が終わるとともに副乳の腫れも元に戻っていきます。

妊娠中

妊娠中、女性の乳房は母乳を作るために成長していきます。また妊娠をすることでホルモンの働きが活発になり、副乳も少し膨らみ、色素が濃くなることで気づくひとが増えるといわれています。

産後

産後2~3日に母乳が一気に作られ胸が張り痛くなるのと同様に、副乳に張りを感じて気づく人も多いです。中にはゴルフボール大にまで腫れ上がってしまうような場合もあります。

また妊娠中に濃くなった副乳の色素が残り、産後も副乳が目立ちやすい状態が続きます。一般的に副乳は乳口部が無いため乳汁は出ませんが、搾ると何かが出てきたという方もいるようです。

副乳ができる原因にはホルモンバランスも関係している?

妊娠や授乳をきっかけに副乳が目立ってくる原因には、女性ホルモンが大きく関係しています。妊娠すると副乳の色素が濃くなりますが、これは「エストロゲン」という女性ホルモンがメラノサイトに作用するためです。

エストロゲンは妊娠後に分泌量が増加するため、副乳の色素がどんどんと濃くなり目立ってきます。またエストロゲンには乳腺の発達を促す働きもあり、副乳の腫れやふくらみ等が自覚されやすくなるのです。

産後にはエストロゲンが減少し、プロラクチンという乳汁を作るホルモンが働きます。このプロラクチンは副乳の乳腺にも作用し、一時的に副乳を腫れ上がらせたり乳汁を作りだしたりすることがあります。

授乳が軌道に乗るとホルモンの分泌も安定して、副乳の腫れも落ち着いてくることが多いです。

副乳と乳がんは間違えやすい?その見分け方は?

しかし副乳の存在に気付いていない場合、副乳を乳がんと間違えてしまうことがあります。どちらも脇や乳房上に、しこりのようなものが発生し、その特徴が似ているので間違えやすいのです。

では副乳と乳がんの違いについて、詳しくご紹介していきましょう。まずその違いには、大きく分けて二つあります。

一つ目の違いは、しこりが現れる期間です。副乳は「生理や妊娠、授乳中」など、しこりのような腫れが一時的におこります。一方で乳がんは妊娠等に関係なくどのタイミングでも発生する可能性があり、しこりができると消えることはありません。

二つ目の違いは、副乳に「ほくろ」のような部分があることです。副乳は元々複数あった乳房が退化したものなので、乳首部にあたる色素の濃い部分があります。一方で乳がんは乳管内から発生するため、初期であれば皮膚表面に色の変化は現れません

乳がんのしこりか副乳か判別しにくい場合には、乳がんの早期発見のためにも乳腺外科に相談するようにしましょう。

副乳ができてしまったらどうすればいい?自然に消える?

ご紹介してきた副乳ですが、そもそも副乳そのものに問題はありません。しこりができる、乳房の張りがある時と同じように張るなど痛みを伴うことがありますが、出産後に授乳をしていくうちに落ち着いていくので心配することはありません。

特にふくらみに関しては、授乳が落ち着くころにほとんど目立たなくなります。ただ乳腺が発達している副乳の場合、母乳がたまりすぎると副乳でも乳腺炎をおこすこともあります。副乳の乳腺炎も一般的な乳腺炎と同様に、乳汁が溜まって詰まり炎症をおこします。

この他にも乳口から細菌が侵入して化膿性乳腺炎をおこすことがあります。副乳が乳腺炎をおこすと痛みや腫れが生じるので、適切な対処法を取り、必要に応じて病院で治療を受けるようにしましょう。

副乳は自然に消えるの?

また副乳は自然に消えることはありません。妊娠や授乳をきっかけに目立つ時期は一時的ですが、副乳は乳房と同じく体に元々あったもので、今後もずっと主張せずに存在し続けます。

とういった症状の場合治療が必要なの?

問題がない事の多い副乳ですが、治療が必要なケースもあります。ここではどうった場合に治療が必要なのか詳しくご説明していきましょう。

まず副乳は脇の下から腹部にわたりできる可能性があるため、場所によっては見た目の問題で治療を検討する方もいるようです。

その他にも副乳の部分に乳口がないと乳汁が排出できず詰ってしまい、乳腺炎のように化膿して炎症をおこしてしまうことがあります。炎症や感染をおこすと、場合によっては治療や手術を受ける必要もあるでしょう。

そして脇の下のしこりは副乳ではなく、乳がんやリンパ腺、汗腺、皮脂腺に関わる病気の可能性もあります。万が一のことを考えて、気になるしこりや痛みがある場合には乳腺外科を受診してみましょう。

また実際に副乳の治療を行う際は、レーザー治療と切除手術がの二つがあります。それぞれの治療方法の特徴を以下にご説明していきます。

レーザー治療

レーザー治療は乳腺を持たない副乳の場合に行われます。イボやほくろの除去と同じように、皮膚上にある乳首部をレーザーで切除します。局所麻酔で行われ、1か所であれば数分で処置が終わります。ただし副乳内に乳腺がある場合は適応となりません。

切除手術

乳腺がある場合には、副乳部を切開して乳首部の切除と乳腺の除去を行います。手術にかかる時間は1時間ほどで、その日に退院できることが多いです。乳腺組織が残っていると再発する可能性もあります。

どちらの治療も自由診療の場合は副乳1か所につき、「数万円~数十万円」の費用がかかることを念頭に置いておきましょう。

また妊娠中は麻酔薬が使われる治療に注意が必要です。特に器官形成期である、妊娠初期は麻酔薬の使用をできるだけ避けましょう。妊娠中や産後に副乳の治療を行う際は、妊娠・授乳中であることを医師に相談してください。

しかし副乳で緊急手術を要することは稀なので、産後に落ち着いてから治療するのがおすすめです。

副乳が痛い時の対処法や予防法はある?

妊娠中に副乳が痛むことは少ないですが、出産後は乳房と同時に副乳も張って強い痛みや熱を感じます。そうした際には保冷剤などを患部に当てて、冷やすことが大切です。必ずガーゼや薄手のタオルなどに包んであててくださいね。

これは乳腺炎の対処法と同じなため、もし副乳に母乳がたまっている場合にも有効です。また痛みが気になってもなるべく触らずに、冷やすだけにしておく方がよいでしょう。

副乳に痛みがおきないようにする予防法とは?

前述でもご紹介したように、産後は副乳が張り痛くなってしまいがちです。ある程度は自然に落ち着いていくのを待つしかありませんが、少しでも痛くならないよう予防法をとることもお勧めします。

副乳に乳汁が溜まると乳腺炎をおこすリスクが高まり痛みを感じやすくなるので、副乳内に乳汁を溜めこまないようにすることがポイントです。

まずは副乳に乳口がある場合、マッサージして搾乳します。頻繁に搾ると副乳が活発化し、さらに乳汁が作られてしまうので溜まってきたときのみ行いましょう。

乳口が無い場合には搾乳ができないので、上記でご紹介した冷やすなどの対処法を行って痛みを軽減させていきましょう

副乳を見つけたら万が一のことを考えてお医者さんに相談してみよう

副乳がある!とわかると、なんだか不安になってしまうかもしれません。ですが珍しいものではなく日本人の数%に存在しています。体に害を及ぼすものでは無いので安心してくださいね

そして副乳は、妊娠や授乳、そして毎月の生理で一時的に腫れや痛みを伴うことがありますが、冷やして対処すれば軽減します。

また手術により除去することも可能です。どうしても気になる場合や痛みや乳腺炎がひどい場合には、乳腺外科や美容外科で相談して適切な治療を受けるようにしましょう。

もし乳房の近くにしこりがあって、胸の張りとは関係なく痛みがある、しこりが大きくなっている…などの場合は、副乳以外の病気かもしれませんので、そういった場合には自己判断せず早期にお医者さんに相談してください。

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