ミニマリストとは2009年ごろアメリカで発生した考え方で、必要最低限の物しか持たない生活のことを指します。日本でも2011年ごろから入ってきて、2013年あたりから急速に世間一般でも広まっていきました。
ミニマリズムを実践している人を見てみると、家族連れよりは一人暮らしの方が多いようです。家族の場合、配偶者や子供たちの同意を得なければなりません。これはなかなかハードルが高いです。しかし家族連れの中でも、ミニマリストの生活に興味を持っている方もいるでしょう。
「ミニマリストになりたい!でも家族と一緒に暮らしているんですが、ミニマリストになれますか?」
答えは「ハイ!なれます」です。
もちろん一人暮らしのほうが、何でも自分の思い通りにできるのでミニマリストになりやすいのですが、家族と一緒に生活していても、たった5つのステップを実行しさえすれば、ミニマリストになれるのです。いいえ…自分だけでなく家族もミニマリストに変身させてしまうかもしれません。
目次
第1段階 作戦を立てる
それぞれの家の状況は違います。自分の家のどこは断捨離できて、どこは断捨離できないでしょうか?自分の部屋だけでなく2階には自分の部屋しかないので2階は全部断捨離できそうですか?どこまでなら家族が許してくれるでしょうか?まずは家族の状況を考えてミニマリストとしてどこまでできるのか考えます。
第2段階 自分の部屋を整理
計画を立てたらミニマリストとして始めに着手するのは、自分の部屋です。自分の部屋の中にある無駄なものを排除していきましょう。洋服はいつも使っているものだけにしてスッキリ処分します。
部屋に恐らく押入れがあるでしょうから、自分の部屋には机と椅子以外のものは何も置かず、その他のものは全部押入れに入ってしまう程度にします。「わたしミニマリストになろうと思うから、ちょっと手伝ってよ」と家族に協力してもらいますか?いいえ、自分が勝手にミニマリストになりたいだけなので、家族を巻き込んではいけません。
これらの作業は一人で行ないます。家族はスッキリしたあなたの部屋を見て驚くでしょう。どうしたの?と聞かれても「ちょっと思い切って部屋を掃除しようと思ってね。ほら、こうしたら掃除が楽でしょ」と言うくらいにしておきましょう。
第3段階 共用部分を
続いて行なうのは家族との共有部分の処分です。容易に予測がつきますが、家族との衝突が予想されます。もし自分が子供という立場なら、共用部の改造はかなり慎重に家族に聞いてから行なう必要があります。
家族が少しでもいやな顔をするならやめましょう。問題は主人や主婦など家族の中で権威がある人がミニマリストになるパターンです。ミニマリストとして勝手に共用部分の断捨離を行なっていると、徐々に他の家族はストレスを溜めます。一番良くないのは整理するだけならまだしも、家族に自分の考えを強要するときです。
せっかく廊下に何も置かないようにしたのに、家族の一人が無造作に何かを置きっぱなしにしていると怒り出すミニマリスト主婦がいます。これでは家族の支持は得られません。「かあちゃんよ。頼むからミニマリストやめてくれ」と思われるだけです。共用部の断捨離は家族に聞いてから、なおかつ家族が物を置いても怒らないようにしましょう。
第4段階 家族をミニマリストに
なかなかうまくいかない共用部分の断捨離もある方法でスムーズに行なえるようになります。それは家族もミニマリストにしてしまうという方法です。どうすれば家族にも、ミニマリストのすばらしさが分かってもらえるでしょうか?まずは自分自身がミニマリストとして楽しそうにしていることです。
楽しそうにしているとミニマリストが魅力的にうつります。もう1つはミニマリストとしての長所をそれとなくアピールしましょう。一番良い方法は、ミニマリストになると掃除が楽だよ。というアピールすることです。
主婦にミニマリストのよさを分かってもらうには一番の方法です。「ミニマリストのリビングの掃除ってムッチャ楽らしいよ」とミニマリストのリビングの写真などを見せてみましょう。家の管理は通常主婦の手中にありますので、一家の主婦がミニマリストになったらしめたもの。家全体を断捨離できるようになります。
第5段階 家族と共に家中を断捨離
ミニマリストになるのが家族のブームになるようなら大成功です。共有部分も自由に断捨離できるようになります。リビング、キッチン、押入れ、ガレージに至るまで要らないものを排除して、家の中をスッキリさせてしまいましょう。
まだミニマリストに反対の家族がいたとしたら、「○年に一度の大掃除」とでも言っておけばいいでしょう。家族と一緒に住んでいてもミニマリストになれるのです。
過度なミニマリズムは家庭崩壊のもと!?
上で紹介したように慎重に段階を踏めば、家族連れでもミニマリズム生活を送れます。しかし過度にミニマリズムを家族に強要してしまうと、家庭内がぎくしゃくする恐れがあります。
ミニマリズムはあくまでも一つの価値観・趣味にすぎません。絶対的な正義ではないのです。そのようなものを自分の趣味でほかの家族に強要すると、「それはあなたの考え方でしょ?」ということになりかねません。
インターネットで家族の意向を無視してミニマリズムを実践する奥さんのエピソードが紹介されていました。その奥さんはミニマリズムにはまってしまって、娘さんの大事にしていたおもちゃも勝手に処分していったそうです。
するとその娘さんが奥さんに抗議をしました。「私の宝物をママが捨てるのなら、ママも捨てなよ」と言ってきたそうです。そしてそのあと痛烈な一言「ママの宝物は私でしょ、だったら私のことだっていらないはずだから捨ててよ!!」。このように泣きながら娘に言われれば、奥さんもさすがに動揺しますよね。
同じ物でもどのような価値を見出しているか、人によって全く異なります。上で紹介したエピソードで登場する娘さんの年齢は紹介されていません。でも子供にとっておもちゃがいかに大事なのか、この部分を母親がきちんと理解できていなかったことは明白です。
「まだ子供だから…」ということで、ミニマリズムに限らず子供の意向を無視して親が勝手に決めつけてしまうことはままあります。皆さん、小さなころに買ってもらったぬいぐるみ・人形をボロボロになっても大事にしていたことはないですか?心当たりのある方もいらっしゃるでしょう。
ミニマリストにとらわれている人の中には、家族のいらない物を捨てて「いいことをしている」と思い込んでいる傾向が見られます。でもそれは単なる自己満足に過ぎないことをまず頭に入れておきましょう。異なる価値観を持っている家族からすれば、勝手に物を捨ててしまう人を害悪としか見ていないことも考えられます。
子供に限らず、家族から「これは絶対に捨ててはだめ!」といわれたら、自分からするとどう見ても意味のない物・価値がない物でも処分しないことです。特に子供の場合、今は「捨てちゃいやだ!」といっても成長すれば手放すこともあり得ます。子供が「必要ない物」と自覚するまで、辛抱強く待ちましょう。そして「これもういらない」と言ってきた場合には、子供が成長した証と思って喜ぶことです。
自分の持ち物はどんどん処分しても構いません。ただしほかの家族の持ち物は処分する前に、捨ててもいいかどうか必ず確認をとることです。家族とはいっても他人であることを絶対に忘れないことです。ミニマリズムにのめりこむあまり、家庭崩壊を引き起こしてしまった、では本末転倒だからです。
家族に反対されたら…
家族にもミニマリストになってほしくてその魅力を話しても、「そんな生活はいや」と反対されることもあるでしょう。その場合、まず自分の自由にできるところから処分していくことです。具体的には自分の持ち物、衣服をはじめとした自分が独占的に使用しているもののみを対象にすることです。
食器や家電など、自分も使うけれども他の家族も使っている共用物が家庭の中にはたくさんあるはずです。ミニマリストの中には、このような共用物も家族に内緒で処分してしまう人もいます。自分だけが使っている者でなければ、勝手に捨てないことです。もしどうしても共有している物を捨てたければ、家族に聞いて捨てても問題ないか確認をとりましょう。
共有しているものを処分してしまうと、際限がなくなりかねません。共有しているものから徐々に家族のエリアにまで浸食をして、どんどん捨てて行ってしまうミニマリストもいます。どこまでが独占物で、どこからがほかの家族も使用する物か、その仕分けを処分する前に行ったほうがいいでしょう。
また自分の持ち物を過剰に処分すると、他の家族の誰かが何か買い物したとします。すると「これだけ自分が一生懸命処分しているのに、何で物を入れるの?」という気分になりかねません。実際ミニマリストの中には家族が何かを購入すると、理屈をつけたりクレームを入れたりする人も見られます。ミニマリストに反対の立場をとっている人にとっては、「なんで文句を言われているのかわからない」となり、ますます家族の気持ちが離れてしまいます。
家族にミニマリズムを反対された場合、それを受け入れることです。そして自分のできる範囲でミニマリズムを実践しましょう。家族全体のいらない物が処分できなくても、多少自分の持ち物を減らしてもミニマリストと言えるからです。
まとめ
家族持ちの方でミニマリストになろうと思っているのなら、上で何度か紹介したように「自分とほかの家族の価値観は違っているかもしれない」という意識を持つことです。あなたにとってミニマリストが魅力的な生活でも、他の人は「物がたくさんあったほうがいい」「物のない生活は不便で考えられない」と思うかもしれません。
ミニマリズムを家族に強要して、関係がおかしくなるケースはままあります。そのような状況に陥っている世帯を見ると、ミニマリズムが絶対的な物でほかの価値観に目が行っていないことも少なくありません。「ミニマリズムの取り組みが自分だけでなく家族を幸せにしているか?」この自問自答を行うことが大事です。
「自分の取り組みをどう思っているのか?」「ミニマリズムをやって心地よく感じているか?」ということを繰り返し家族に尋ねましょう。
ミニマリズムは、不必要な物を捨てることで精神的に豊かな生活を送ることに意義があります。不必要と思われる物を捨てた結果、家族関係が壊れてしまっては豊かな生活とは真逆の方向に進んでいますね。「捨てる」行為だけにこだわって、ミニマリズムの本当の意味を見失わないように心がけましょう。